教会にて…

　今回の話は先日行われた魔女のオーケストラ公演の会場にて実際に体験した出来事です。そもそも本物の教会で魔女のコンサートをやるという、本来ならありえない組み合わせのイベントであったわけですが、ロビーにて魔術グッズ販売の準備中、教会の牧師さんがロビーを通り過ぎようとしていました。

「ほぉ、シャツに十字架が！　あなたは…クリスチャン？」

　そう、ゴシック系ということで私は地味ながらも赤いクロス刺繍入りのシャツを着ていたのでした。後で考えればこれは好都合なことであったはずなのですが、その時の私はとっさに言ってしまったのです。

「いえ、違います☆（キッパリ）」

「えっ！？　違うんだ！？　いやー、そこは嘘でもそうだと言って欲しかったなー。なんせ私、牧師なんだからー」

　うぅ、しまった！！　なんて失礼なことをしてしまったんだぁーーー！！　いくらキリスト教の対極に位置する異教徒側の人間とはいえ、ここは「もちろんです、牧師様。ごきげんよう（マリみて）」と軽快にやり過ごすべきところなのにぃーー！！

「あ、そ、そうですね。すいません…。アハハハハハハ…」

「ん？　これは……………魔術堂？？　………魔術？？？」

　牧師様はテーブルの上にあった魔術堂のチラシとポップを目にされたのでした。
　そういえばはっきりいって教会に魔術グッズなどもってのほか！！
　魔女オケのコンサートやらせてくれるくらいだからと安心していたけれど、流石に魔術はヤバイか！？

　まずい、まずいですよ！？
　もしうちのせいでコンサート中止とかになっちゃったらマジにやばいですって！！
　これはごまかさねば！！

「あ、いやー、名前は魔術とかなってますけど、なんていうか、十字架とかゴシック建築とか、そういう宗教的なシンボルなんかが好き、という文化があってですねー、うちもそういうファッション雑貨とかアクセサリーとか売ってるんですよー。」

　うぅ、こんなことなら聖水とかあるんだから、ああいうの持ってくればよかった。…いやいや、かえって「これ誰が聖別したの？」とか突っ込まれそうだからそれも危険か…。

「……ふーん。……で、今日はこの魔術堂のコンサートなわけ？？」

「い、いえ！　違います！！　今日は魔女つながりということで協力させていただいているだけで、まぁ、せっかくなのでロビーでちょっとだけそれっぽい民芸品を販売させていただくんですよー。あは、あははははは…。」

「…………ふーん。……あれかな、魔女の宅急便とか、そういうの？　関係ないか…」

「あ、それ！　それですっ！！　魔女の宅急便、物凄く関係ありますよー！！　そうなんです、ああいうお店なんですよー☆」

　（どういうお店だ…）

「…なるほどねー。うん、それじゃあ頑張って！！」

「はひぃ！」


……………………。

…………いやー、危なかった。

てゆーか、ソロモンの護符とか持ってきちゃってるけど、これ悪魔召還時のお守りじゃん…。場違いにも程がある、てゆーか、これはきっと天罰が下るぜっ！！！！！

でも、教会でゲーティアとか売るのも面白いなぁー、フヒヒヒヒ（懲りてない…）