本日は「iClone」という楽しいソフトをご紹介致しましょう。iCloneは3DCGの動画作成に特化したソフトで、これ1本で映画が作れちゃいますよっ!というスゴイ触れ込みのソフトウェアです。
役者もロケ地もカメラも照明も特殊効果も全てiClone内に揃っていますので、あとはあなたが監督となって役者に演技指導をし、カメラアングルを決めて、はいカットッ!!などと叫べばたちまち映画の出来上がり!!……というわけです。
ただ、iCloneで使えるアバター(役者)の人形はiClone内に用意されているものを使うしかなく、普段DAZ Studioで遊んでいる私としては、可愛いマイ・ドール達を使うことができないという問題があります。しかし、objという形式のファイルを外部から読み込むことはできますので、動かないオブジェとしてならDAZ Studioで使っているフィギュアをiClone上で表示させることができます。
上の画像は魔術子をDAZ Studioでobj形式でExportして、iCloneのシーン内に読み込んだ状態です。なので、この魔術子は動かせません!! ポーズを変えたければまたDAZ Studioで違うポーズをとらせて再びExport、iCloneでロード、という手順を踏まねばならず、これではiCloneの折角の動画作りの機能が使えないのです。
が、しかし!!
iCloneを買うといくつかのボーナスデータがダウンロードできるようになるのですが、その中にとんでもない秘密兵器が隠されていました。それがClone Boneという謎の骨フィギュアです。この骨にDAZ Studioでパーツごとに書き出した肉を貼り付ければ、DAZ Studio上のフィギュアがiCloneのアバターに早代わり、というわけです。
と言うわけで人体移植実験開始!! 魔術子を頭、首、肩、腕などバラバラに切り刻み、各部位ごとに書き出してClone Boneに移植します。……なんと猟奇的、背徳的な行いでしょうか!? でもまぁ、魔術子は元々人形だし、いいよね。人体~切断、エンヤコーラ♪
と、これで7割り方移植した状態です。ソフトを超え、時空を超えてiCloneワールドへ奇跡のテレポーテーションを果たした魔術子。そこにはどんな新しい冒険が待っているのだろうか!!
しかしこれ、魔術子(BJD)は元々球体関節人形だから良いんですが、関節部分にどうしてもポーズによって隙間ができてしまいますので、リアル人体フィギュアのようなシームレスなボディの移植は無理ではないと思いますが大変そうです。開発元(Reallusion)のチュートリアルビデオもロボット・フィギュアでやってますし……。
早速、iCloneアバターと化したクローン魔術子を動かしてみます。プリセットされている自動車を選んでメニューからOpen Trunk(トランクを開ける)というコマンドを実行したらナント!! 魔術子がスタスタと車に向かって歩いていってトランクをバーンッ!!と開けたではないかぁー!! 恐るべしiClone、本当に簡単に動画作りができてしまいます。なんか、物を投げたり掴んだり、人形と小道具が連動して動くと、とたんにキャラクターが生きてる感じがしますねー。
しかし実は、私が最初にiCloneの導入を決めた時点では、キャラクター操作に関しては全く期待しておりませんでした。私が当初魅せられたのはiCloneのセット、とりわけ水と植物です。何しろ、水(Water)を呼び出して直ちに再生ボタンを押すと水がそよそよと流れるんです。スピードも調整できます。景観作成ソフトのようなものでも勿論こうしたものは作れますが、このiCloneのお手軽さといったら!! ちゃんとフィギュアや背景も水にユラユラと映りますし、水の中から見上げると地上のものが歪んで見えます。
そして植物。これも木や草を配置して再生ボタンを押せばそよそよと動き出します。風の強さも調整できます!! もう、この植物だけでもiClone買って悔いなしと言っていいくらい、というのが私がiCloneを導入した一番の理由です。ガーデニングで遊んでるだけで、あっという間に数年の歳月が流れてしまいそうです。(それも困る)
まぁ、静止画ならDAZ Studioとか他のソフトでやった方が良いと思うので、あくまで動画作りたい人向けですが。
ちなみに、Clone Boneを使ってのフィギュア移植に際してはもう一つ問題があって、iClone付属のアバターは大体1万5千ポリゴンぐらいなのですが、今回移植した魔術子は頭だけで約3万ポリゴン、髪の毛にいたっては22万ポリゴン!!もあります。
iCloneはローポリのフィギュアを使うことで動画作りを軽快に簡単に行えるようになっているので、このようなハイポリのフィギュアが混じっているとあらゆる動作が重くなります。実際、クローン魔術子もあらかじめ入っているモーションデータを適用するとちゃんと動きますが、iClone上で自分でポージングしようなどと思うと、動作が重くてやってられない!という状況になってきますので、何とかローポリ改造化の道を見つけないと、やはりiCloneをDAZフィギュアで遊ぶのには無理がありそうです。
ちなみに、iCloneはGoogle 3Dの立体モデルを簡単に取込めます。3DXchangeというモデル変換用のプログラムを起動してそこから直接Google 3Dにアクセス、ダウンロード、変換、と一瞬にしてiCloneのコンテンツ・フォルダにダウンロードしたモデルが表示されます。あたかもiCloneの内部に膨大なフィギュアが内蔵されているかのような感覚で使えますので、この辺の素材に興味のある方にもとても面白いと思います。試しにルーヴル美術館とエヴァンゲリオンと銀河鉄道999を読み込んでみたら……重いの読みすぎたせいか、もはやここからカメラ動かすのすらままなりません!!
というわけで、例えば建物の俯瞰ショットをiCloneで撮って、建物の中や人物の出るシーンはDAZ Studioで撮るとかすれば、iCloneのダイナミックさとDAZ Studioの高解像度を生かしたCGムービーなども作れるのではないでしょうか。
今回紹介したのは「iClone3 Pro(英語版)」というものですが、今月末に「iClone4 Pro」の発売が予告されています。私はこの新バージョンへの無償アップグレード対象期間に買ったので、只今新バージョンの発売をわくわくしながら待っているところです。
新バージョンではiCloneのセット内にムービーを配置できるようになるということなので、DAZ Studioで作った動画をバックにiCloneで草を重ねたり、特殊効果を加えたりといったこともできる……はず!!!