2009/09/24

Les Parapluies de Cherbourg

*魔術子ファンミーティング2009
会場限定配布CD/非売品(超嘘)

 ジャック・ドゥミ監督の「シェルブールの雨傘」を観ました。

 この映画、今年になってリマスター上映されたりということで話題に上っていて、本編は見た記憶がないものの、テーマ曲が昔から大好きだったのと、カトリーヌ・ドヌーヴが主演と言うことで私も注目しておりました。

 一方、アニメ作りの際の台詞をどうしようかという問題で、台詞を全部メロディーにしてボーカロイドに歌わせればいいんじゃない?という無謀な考えも候補の一つとしてあったため、その参考にもなるのではないか!?という興味もありました。何しろ、シェルブール~は台詞が全て歌だというのです。……というわけで期待に胸膨らませつつ観てみたわけですが、これは本当にビックリ!!

 ミュージカルといえば芝居の途中に歌や踊りが挿入されるという形式が一般的かと思いますが、シェルブールの雨傘は違います。決して誰も踊りません。カットもストーリーもまったくもって普通のドラマ映画です。もし音声を消して画面だけ見てたらミュージカル映画だとは気付かないでしょう。

 しかし、台詞は全て歌です。普通にドラマとして進行する中、おはようからおやすみまで、全ての台詞にメロディーが与えられています。会話の最中に「コーヒー♪」とかウェイターに注文したりするので、もしサントラ盤とかで歌だけ聴いてたら「なんのこっちゃ!?」と思うこと間違いありませんっ!!

 内容的には戦争で引き裂かれた傘屋の娘と自動車整備工の青年の悲恋の物語、ということだったのですが、結局のところ登場人物全員幸せになってるんだし、これはハッピーエンドではないのか!? と思う人も少なくないはず。ギイより宝石商の方がイイ男だし、個人的にはジュヌヴィエーヴよりマドレーヌの方が可愛いし……。

 が、しかし!! 恐るべしはミシェル・ルグランのあの音楽。ラスト、あまりにも有名な悲しいメロディーがこれでもかといわんばかりに感動的なアレンジで流れます。うぅ、悲しい、悲しすぎる、何という悲恋!!、という見えない歌詞を内包したこの殺人的旋律とオーケストレーションとミキシングによって、観衆は有無を言わさず涙を流すこととなります。

 監督 「そこ!音楽もっとボリューム上げて!!」
 編集者「か、監督、これはちょっとやり過ぎでは…」
 監督 「まだだ!! もっと大きく!! もっと音楽を!!!!」

…などというやりとりが目に浮かんできそうなほどです。
これぞ演出の神!?

 というわけで映画はとても面白かったのですが、アニメ作りの参考という点では、ミシェル・ルグランの恐るべき職人芸を見せつけられてしまうと、あと二回くらい人生やり直さないとあんなスコアは書けないよなぁーとうちひしがれてしまうのでした。。。

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